マンスリードナーの人数が、この1年ほど減っていました。

マンスリードナーは、継続して支えてくださる方々です。その人数がどのように変化しているのかは、知っておきたいと思っていました。

もう一つ悩んでいたのが、マンスリードナーを増やしていくために、

新しいマンスリードナーを増やすことと、今支援してくださっている方の離脱を防ぐことの、どちらに、そして、どのように力をかけていくべきなのか。

ということでした。

デジタル施策から入ってくるドナーもいるので、今後の施策を考えるうえでも、

「新しく何人増えているのか」
「何人が離脱しているのか」

は把握しておきたい数字でした。

そこで、マンスリードナーの「新規」と「離脱」を調べることにしました。

最初は、Salesforceにそれらしい項目があるのだろうと思っていましたが、実際に調べてみると、思っていたよりずっと複雑でした。

「減った人数」が離脱だと思っていた

最初に私が考えたのは、とても単純な方法でした。

たとえば、前月に100人いたマンスリードナーが、当月95人になっていたら、

「5人離脱した」

ということだと思っていました。

でも、これは違いました。

たとえば、その月に新しく10人増えて、15人が離脱していたら、

100人 + 10人 − 15人 = 95人

です。

人数としては5人減っていますが、離脱したのは15人です。

つまり、

前月末の人数と当月末の人数の差は「離脱」ではなく「純増減」。

ここでまず、「減った人数」と「離脱した人数」は別の数字だと気づきました。

そして、新規と離脱を分けて見ないと、

「新しく入ってくる人が少ないのか」
「入ってきても離脱する人が多いのか」

も分かりません。

どちらにアプローチするべきなのかを考えるためにも、まずはこの2つを分けて見る必要がありそうです。

Salesforceに「新規」という項目があると思っていた

では、新規はどう数えればいいのか。

私はSalesforceのレポートに「NEW」のような項目があるのではないかと思っていました。

実際に項目を見ていくと、

「初回寄付」

というチェック項目がありました。

毎月寄付の入金履歴を確認すると、ある月に「初回寄付」がTRUEだった人が、その後の月にはFALSEになっています。

「これが新規を表しているのでは?」

と思いました。

そこで、実際の寄付履歴をいくつか確認してみました。

すると、そう単純ではありませんでした。

カードの変更などによって新しいドナーのレコードが作られたときにも、「初回寄付」が付いているケースがありました。

その人は、新しくマンスリードナーになったわけではありません。

以前から寄付を続けている人です。

Salesforce上で「初回」となっていることと、その人が初めてマンスリードナーになったことは、必ずしも同じではありませんでした。

そのため、「初回寄付=TRUE」の人数をそのまま新規マンスリードナー数にすることはできませんでした。

では、「離脱」はどうやって見つける?

次に離脱を考えました。

最初に考えたのは、

前月に入金していたのに、当月入金していない人を探す

という方法です。

でも、ここでも一つ問題がありました。

普段使っているSalesforceのレポートは、入金をもとにデータを見ています。

離脱して寄付をしていない人は、その月の入金レコード自体がありません。

寄付をしていない人を探したいのに、「寄付」を起点にしたレポートを見ていた。

ここで、そもそも見ているデータの出発点が違うのではないかと思いました。

IDが消えた人を追ってみた

さらに、実際のデータで確認してみました。

ある月に「初回寄付」が付いていたマンスリードナーを、その後の月まで追ってみます。

マンスリー寄付に紐づくIDで確認すると、途中で同じIDが見つからなくなった人がいました。

これだけを見ると、

「この人は離脱したのでは?」

と思います。

でも、Salesforceで履歴を確認してみると違いました。

カードエラーがあり、その後、別のIDで毎月寄付が作り直されていました。

そして、寄付自体は継続していました。

つまり、

IDがなくなった=ドナーが離脱した

でもありませんでした。

数えたかったのは「寄付」ではなく「人」だった

ここまで調べて、ようやく自分が何を追わなければいけないのかが見えてきました。

新規マンスリードナーを知りたい。

離脱したマンスリードナーを知りたい。

そのために必要なのは、寄付レコードの数でも、毎月寄付のIDの数でもありません。

同じ人を、同じ人として追うことでした。

カード変更や決済エラーなどによって、寄付に紐づくIDが変わることがあります。

CRM上では、同じ人について複数のレコードが存在することもあります。

そうした状態で、

「初回寄付だから新規」
「翌月同じIDがないから離脱」

とすると、実際のドナーの動きとは違う数字になる可能性があります。

新規と離脱は、単純な計算式を見つければ出せる数字だと思っていました。

でも、その前に、

「誰を同じドナーとして数えるのか」

を整理する必要がありました。

そもそも、どこまで正確に出す必要があるのか

ここまで調べて、別の疑問も出てきました。

新規と離脱を一人単位で完全に正確に出すために、毎月一件ずつ履歴を確認する必要があるのだろうか。

もちろん、新規と離脱は知りたい数字です。

ただ、私が本当に知りたかったのは、

マンスリードナーがなぜ増えているのか、なぜ減っているのか。

そして、

デジタル施策で獲得したドナーが、その後も寄付を続けているのか。

ということでした。

そう考えると、毎月の離脱人数だけを完璧に出すことを目的にするのはやめました。

今は、この4つを見ることにした

今回調べたことを踏まえて、まずは次の数字を見ていこうと考えています。

見るもの確認したいこと
月末マンスリードナー保有数現在何人いるのか
純増減前月から全体として何人増減したのか
新規マンスリードナー候補新しく入ってきた人がどの程度いるのか
コホートでの継続獲得した人が、その後も寄付を続けているか

「新規マンスリードナー候補」としているのは、「初回寄付」だけでは本当の新規と断定できなかったからです。

そして今回、新しく知ったのがコホートで継続を見るという考え方でした。

参考にしたのが、M+R Benchmarksです。

M+R Benchmarksは、非営利団体のデジタル・ファンドレイジングやマーケティングなどの実績を毎年まとめているベンチマーク調査です。2026年版には、国際支援、飢餓・貧困、環境、保健などさまざまな分野の180団体が参加しています。

M+R Benchmarksでは、マンスリードナーの継続について、前年と翌年を比較するだけではなく、寄付を始めてから何か月後まで継続しているかを追っています。

たとえば、ある月にマンスリードナーになった人たちが、その後どのくらい寄付を続けているのか。

同じ時期に獲得した人たちをその後も追ってみれば、「今月何人離脱したか」だけではなく、

獲得したマンスリードナーが、その後も残っているのか

を見ることができます。

M+R Benchmarks 2026では、2025年に新しくマンスリー寄付を始めた人のうち、10%が開始から2か月以内に停止し、7か月後には81%、12か月後には71%が継続していました。

また、マンスリー寄付を増やしていくには、新しく入ってくる人と離脱する人の両方を見る必要があることも分かりました。

新規獲得と離脱防止のどちらに力をかけるべきなのか。

その答えを出すためにも、まずは自分たちの新規と継続の状況を見えるようにするところから始めたいと思っています。

「新規○人、離脱○人」を出せば終わりではなかった

今回調べ始めたとき、知りたかったのは単純でした。

「新規は何人?」
「離脱は何人?」

その数字をSalesforceから出せれば終わりだと思っていました。

でも、実際のデータを見ていくと、

「初回」とは何を意味するのか。

IDが変わった人をどう扱うのか。

決済エラーは離脱なのか。

同じ人をどうやって追うのか。

と、計算する前に考えなければならないことがいくつもありました。

今のところ、完全に正確な新規・離脱人数を出せるようになったわけではありません。

むしろ今回分かったのは、

正確に数えるには、計算式より先に、データの意味と「誰を一人として数えるのか」を理解する必要がある

ということでした。

そして、数字を出すこと自体を目的にするのではなく、

その数字で何を判断したいのか。

そこから考えた方がよさそうです。

また、一人のドナーに対して複数のレコードがあるなど、Salesforceの運用方法についても考える必要がありそうです。

新しいマンスリードナーを増やすことに力をかけるのか。

今支援してくださっている方に長く続けてもらうことに力をかけるのか。

両軸で考えていくために、今改善できることは何なのか。

この答えは、まだ出ていません。

でも、その判断をするためにも、まずは新規と離脱を分けて見て、さらに獲得したマンスリードナーがその後どのくらい継続しているのかを追ってみたいと思っています。

※Salesforceには、継続寄付の状態を「有効」「失効」「クローズ」などで管理する仕組みもあります。今回の記事はSalesforce一般の仕様ではなく、私が普段使っているレポートから新規・離脱を把握しようとした過程について書いています。組織によってSalesforceの構成や運用は異なります。

参考